Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
佐藤 達彦; 保田 浩志*; 高田 真志*; 中村 尚司*
no journal, ,
近年、航空機乗務員の宇宙放射線による被ばくが問題となっている。航空機乗務員の被ばく線量は、航路の高度・地磁気強度・太陽活動周期・航空機の大きさに複雑に依存するため、すべての航路上における線量を実験により評価することは現実的でない。したがって、それら条件の違いによる線量の変化を正確に再現できる計算手法の確立が不可欠である。しかし、これまで、低高度から高々度までの幅広い高度範囲における線量を精度よく評価できるモデルはなかった。そこで、われわれは、高度20km以下の任意の地点における中性子線量を導出可能なモデルを開発した。本発表では、開発した計算モデルの概要について述べるとともに、その予測値を実測値と比較した結果について述べる。
辻村 憲雄; 吉田 忠義
no journal, ,
Am-Be中性子線源について、その線源カプセル周囲の中性子フルエンスの角度分布をモンテカルロ計算によって求めた。この計算では、JENDL alpha,n reaction data file 2005を用いてアルファ粒子とBeの反応による中性子スペクトル(理論値)をまず求め、次にそのスペクトルをAmOとBeの混合粉末を充填したカプセルの中で一様に発生させた。計算の結果、フルエンス分布の非等方性は、X3カプセルで1.030,X4カプセルで1.035であった。
島田 明彦; 田久保 剛*; 箱田 照幸; 岩崎 達行*; 木下 忍*; 小嶋 拓治
no journal, ,
クリーンルームの薫蒸殺菌に使用後のホルムアルデヒド(HCHO)ガスについて、電子ビーム(EB)を用いてHCHOを分解するとともに、生成するOと触媒を利用して、ガス流通のままで分解生成物を酸化分解する技術の開発を行った。薫蒸ガスを模擬した520ppmvのHCHOを含む含水空気試料に、流通式で1MeV電子ビームを吸収線量10kGyで照射し、照射後分解生成物であるCO, CO,ギ酸及びHCHO濃度を測定した。さらに、照射後の空気を100CのO分解触媒に通過させた後のCO及びCO濃度を測定した。EB照射後の、CO, CO,ギ酸及びHCHO濃度はそれぞれ170, 60, 140及び150ppmvであり、触媒通過前後では、試料空気中のCO濃度はほとんど変化しなかったが、CO濃度は240ppmvに増加した。すなわち、触媒を通過させることにより、EB照射後の未分解HCHO及びギ酸を酸化分解できることがわかった。これらから、スクラバーを用いずにガス流通のままでHCHOガスをEB処理する簡易なプロセスが開発できる見通しを得た。
高橋 聖; 関口 真人; 橘 晴夫; 星 慎太郎; 吉澤 道夫; 加藤 徹*; 山口 明仁*
no journal, ,
従来、原子力科学研究所では線混合場の作業の線量管理には熱ルミネセンス線量計(TLD)を補助線量計として多く使用してきた。今回、線同時測定が可能なアロカ社製70m線量当量対応形電子ポケット線量計(EPD)について、線に対するエネルギー特性試験及び実作業環境場における70m線量当量のTLD(UD-808型)との比較測定を行った。EPDの線エネルギー特性試験は原科研放射線標準施設の線標準照射場において行った。実作業環境場でのEPDとTLDの比較は、使用済燃料取扱施設でEPD, TLD及び原科研において被ばく管理上の基本線量計として使用しているガラス線量計を同時に胸部に装着し、各線量計による70m線量当量を測定して行った。EPDの線のエネルギー特性は、残留最大エネルギー0.5MeV2.2MeVで30%の許容範囲内に収まっていることが確認できた。また、実作業環境場での70m線量当量の測定結果について、EPDの方がTLDよりも基本線量計であるガラス線量計に近い指示値を示した。EPDは、線量の表示や内蔵メモリーによる時系列データの取込み等の機能面に優れており、また取扱が容易であることから、線混合場の作業における線量管理について有用であると考えられる。
吉富 寛; Pangsub, K.; 星 慎太郎; 高橋 照彦; 宍戸 宣仁; 小野寺 淳一
no journal, ,
原子力機構・原子力科学研究所の燃料試験施設では、放射線作業開始前にマスクマンテスト装置を用いて作業者の全面マスク装着状態の確認を行ってきた。装着時に得られた測定データを解析したところ、未経験者を含む全面マスク装着経験の浅い作業者の防護係数の分布は混成対数正規分布に従った。一方、熟練した作業者における分布は対数正規分布に適合し、その時の防護係数は平均3000程度であった。防護係数が200以下であった場合には、装着状態を確認しリークがないように適切に処置した後に再測定を行っているが、経験の浅い作業者においてもこの再装着の結果を反映させると防護係数が平均2000程度となり、その分布は対数正規分布によく適合した。また、作業者個人による全面マスク装着状態の違いを簡便に見積もるために、肥痩の指標であるBMI(Body Mass Index)との相関を調べた。その結果、相関係数が0.5の正の相関があることが明らかになった。以上のことから、作業者はマスクマンテスト装置を利用して全面マスク装着の経験を積むことにより、平均20003000の防護係数が期待できることがわかった。さらに、BMIの値から全面マスク装着時の防護係数の個人差をある程度評価できることがわかったので、マスクの装着指導に生かすことができると考えられる。
上松 敬; 花屋 博秋
no journal, ,
簡便で高空間分解能なイオンビームの2次元フルエンス相対分布測定を実現するために、ガフクロミックフィルム線量計(HD-810)とパーソナルコンピューター用(PC)スキャナによる測定技術を開発した。まず、校正用に照射したガフフィルムを用いてPCスキャナの特性を調べたところ、LiDE50(Canon社)の場合、R色成分で200Gy程度まで、G成分で500Gy程度まで、B成分で1200Gy程度までの実用的なリニアリティー範囲を確認した。次に、PCスキャナの機種による違いを調べたところ、機種ごとに線量応答は異なるが、PCスキャナの3LED方式とCCD方式による有意な違いは認められないことがわかった。多くのPCスキャナは5ミクロン以下のものを識別できるため、本技術によりこれまで用いられてきた2次元吸光度分布測定が可能な分光光度計よりも、簡便で高空間分解能な測定が可能となった。
河裾 厚男; 林 和彦*; 一宮 彪彦
no journal, ,
Si(001)清浄表面は、Si(111)-77再構成表面と並んで最も基本的な清浄表面の一つである。この表面は、約200K以下でc(42)構造、そして、室温付近では21構造をとることが知られている。温度に伴う周期性の変化は、非対称ダイマーのフリップフロップ運動に起因する秩序無秩序相転移によって説明されている。今回、反射高速陽電子回折(RHEPD)のロッキング曲線の詳細な解析に基づき、Si(001)清浄表面の原子配置と初期酸化過程における酸素吸着位置を決定した。Si(001)単結晶(1050.5mm)を通電加熱し清浄表面を得た。磁界収束型の陽電子ビーム発生装置により発生させたエネルギー10keVの陽電子ビームを[110]軸方位、及び、[110]軸から22.5ずれた方位(一波条件)から入射し、陽電子回折強度のロッキング曲線を計測した。また、110Kにおいて酸素分子を導入して初期酸化の効果を検証した。各回折点のロッキング曲線を動力学回折理論に基づく理論計算により解析した結果、非対称ダイマー構造を仮定したときに最もよく結果が再現できることがわかった。しかし、決定された原子座標は電子回折で得られたものと異なっていることが見いだされた。また、回折強度の温度依存性から、表面デバイ温度が260Kと決定された。一方、酸素に曝露すると分数次回折点は消失し、11構造が現れることがわかった。表面原子の表面垂直位置に敏感な一波条件における解析の結果、ダイマー直上とバックボンドの両方に酸素吸着が起こっていることが明らかになった。
前川 雅樹; Yu, R.; 河裾 厚男
no journal, ,
マイクロメートルオーダーに収束した低速陽電子ビームを用いることで、表面近傍に存在する空孔型欠陥の空間分布や微小領域の欠陥構造の評価が可能となる。われわれは、走査型電子顕微鏡(SEM)に装備されている磁界レンズを用い、収束陽電子ビームの形成と特性評価を行った。陽電子線源には、100mCiの密封22Naを用い、モデレーターにはタングステンメッシュを用いた。円孔レンズを用い10keVの低速陽電子ビームを形成し、SEM磁界レンズを用いて試料上へと収束させ、半導体検出器を用いてドップラー幅拡がり測定を行った。SEM磁界レンズにより陽電子ビームを集束できることがビーム像観測より確認された。線径30mのタングステンメッシュを走査したところ、メッシュの形状がSパラメータの変化として明瞭に観測された。エミッタンス測定より最小ビーム径は80m程度であることがわかった。レンズ動作条件の改善によってさらなる収束が可能であるが、現状ではレンズの収差から期待される最小ビーム径には到達しないと思われる。さらなるビーム収束のために小型線源の採用など装置の改良を進めている。
深谷 有喜; 河裾 厚男; 一宮 彪彦
no journal, ,
Sn/Ge(111)表面は220Kで33(低温相)から(高温相)への相転移を起こす。初期の研究では、この相転移が電荷密度波の形成を伴った2次元系のパイエルス転移と報告された。しかしその後、Sn原子が異なる2つのサイトを熱的にホッピングするモデルが考えられ、この表面は現在まで論争が続いている2次元金属系の1つである。本研究では、相転移に伴う表面構造変化を調べるために、反射高速陽電子回折(RHEPD)を用いて、Sn/Ge(111)表面からのRHEPD強度のロッキング曲線と温度依存性の測定を行った。110Kと室温で測定したロッキング曲線は、非常に似た形状をしており、動力学的回折理論に基づく強度解析の結果、両者の表面構造は同一であると結論できた。また温度依存性に関しては、220K以下で温度が下がるにつれて強度が減少する、通常のデバイワーラー因子の効果とは逆の変化が見られた。この特異な変化は、Sn原子に起因したフォノンがソフト化することにより説明できる。したがって、Sn/Ge(111)表面は220 Kで単純な秩序・無秩序相転移を起こすのではなく、フォノンのソフト化を伴った相転移であると考えている。
平出 哲也; 橋 洋平; 谷地 洋也; 鈴木 健訓*
no journal, ,
陽電子寿命測定にしばしば用いられるNa-22とは異なり、Ge-68は線を放出しない。最近、このGe-68を線源に用いた-同時測定による陽電子寿命測定方法の検討が行われている。陽電子の入射を検出するために、試料と線源の間にアバランシェ・フォトダイオードを配置し、この信号に合わせて511KeVの消滅線を測定することで、ランダム同時計測によるバックグラウンドを大幅に低減できる。アバランシェ・フォトダイオードの検出能力は80%であるため(実測)、最大で80%バックグラウンドを低減できる可能性がある。デジタルオシロスコープを用いて、すべてのイベントの波形を溜め込み、解析することで、約40%のバックグラウンドを削除することに成功した。今後の問題点なども含め、議論する。
澤田 真一; 前野 武史*; 八巻 徹也; 浅野 雅春; 寺井 隆幸*; 前川 康成
no journal, ,
架橋密度の異なる架橋PTFE電解質膜の伝導度を、温度80C,相対湿度(R.H.)7095%の環境下において測定した。伝導度はすべての膜でR.H.とともに上昇した。同じR.H.下で比較すると、架橋線量が高いほど大きな伝導度を示し、その最大値はR.H.95%に保った600kGy架橋電解質膜の0.20S/cmであった。このような伝導特性を詳細に検討するため、膜内の親水性領域におけるプロトンの濃度nと易動度の関係を求めたところ、同程度のnでは架橋密度の高い膜ほどは大きくなった。このことから、高密度架橋構造によりプロトンの輸送が促進される伝導メカニズムが働くことがわかった。
八巻 徹也; 小曾根 雄一; 廣木 章博; 浅野 雅春; 久保田 仁*; 吉田 勝
no journal, ,
フッ素系高分子であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)のイオン穿孔膜を作製し、穿孔の中にプロトン伝導性のスルホン酸基を導入することによって、固体高分子型燃料電池(PEFC)に応用可能な「ナノ構造制御型」電解質膜を開発した。作製した電解質膜のプロトン伝導性を評価した結果、膜厚方向にのみ一次元的な伝導経路を有する目的の電解質膜が得られることがわかった。含水による乾燥時からの寸法変化率は、通常の線グラフト重合で膜内へ均一にグラフト鎖を導入した電解質膜の場合の約半分であり、ナノ構造制御による寸法安定性の向上を確認することができた。
松本 加奈江; 島田 明彦; 箱田 照幸; 成田 正*; 小嶋 拓治
no journal, ,
電子ビーム照射空気中では、高反応性の活性種の他に、低反応性のOが生成する。このOを解離・活性化させることにより、VOCの酸化分解を向上することが期待できる。そこで、本研究では、キシレンを処理対象VOCとして選び、電子ビーム照射を行うとともに、このガスをオゾン分解触媒であるMnOに通過させ、酸化分解反応の挙動を調べた。触媒は、HNOが付着しにくい温度である120Cに加熱して実験を行った。この結果、キシレン及びCO濃度が触媒通過前後において同一でありCOのみが増加した。これから、キシレンからの分解生成物がさらに分解されてCOとなると考えられる。また、Oがすべて解離する触媒量を用いた場合では、未分解キシレン及びCOの酸化量も増加し、O分解量と同量のCOが生成することがわかった。さらに、拡散反射型FT-IRによる分析結果から、COとなる中間生成物はカルボキシル基を持つ有機物であると考えられる。以上の結果から、電子ビーム照射後のキシレン含有空気をEB照射とオゾン分解触媒とを併用して処理することにより、少ないエネルギーでCOに酸化分解できることがわかった。
富永 洋*; 立川 登
no journal, ,
これまで開発を進めてきたCf-252中性子とマイクロ波とを組合せ、土壌中の油分,水分を同時分析する濃度計について、小型軽量化を目的とした種々の検討を行った。その主な課題は(1)中性子センサーの小型固体化(Li-6ガラスシンチレータと小型光電子増倍管の採用),(2)中性子センサーとマイクロ波センサー両者の計測有感部の同一化,(3)Cf-252線透過を同時利用する試料嵩密度の自動補正,(4)マイクロ波センサーの小型化(高周波化)等であり、これらの点について実験的検討を行った。その結果に基づいて設計・製作した改良型濃度計の構造,特性等について報告を行う。
藤浪 真紀*; 渡辺 和也*; 小熊 幸一*; 赤羽 隆史*; 河裾 厚男; 前川 雅樹; 松川 和人*
no journal, ,
Siへの自己イオン注入によって形成される欠陥層による銅不純物のゲッタリング効果を陽電子ビームを用いて調べた。Cz-Siに対して3MeVの自己イオンを1E+14/cm注入し、続いて裏面より200keVの銅イオンを1E+14/cm注入した。その後、300800Cの範囲で1時間アニールを行った。陽電子ビームを用いてS-E測定及び同時計数ドップラー拡がり測定を行った。銅不純物の分布をSIMSを用いて決定した。まず、裏面より銅不純物のみを注入したものでは、400C以上で原子空孔と銅不純物の複合体が生成し、600Cでこれが消失することがわかった。一方、表面から自己イオン、裏面から銅不純物を注入した場合では、600Cで自己イオンによって形成された欠陥層に銅不純物が堆積していることがわかった。また、700Cではさらに変化が起こったが、同時計数ドップラー拡がりスペクトルは、銅イオン注入のない場合とある場合でほぼ同じであった。これより、700Cでは欠陥層に捕らえられた銅不純物は、解離するものと考えられる。
藤井 保彦
no journal, ,
第3期科学技術基本計画や原子力政策大綱中に「量子ビーム」の重要性が謳われ、さらに具体的な活動の方向が文部科学省「量子ビーム研究開発・利用推進検討会」で提言されている。このような国策としての量子ビーム利用、特にその相補性について中性子、放射光、イオンビームの研究例及びJ-PARCの現状報告とともに、欧米が量子ビームの相補的利用と関連する施設の国家戦略的整備を実施しつつある現状を紹介する。